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うさぎやの古布 |
当店では、戦前までの布を古布として販売させていただいております。
絹では、縮緬、錦紗、東雲、綸子、羽二重、平絹、各種紬、
木綿や麻では、藍無地、型染め、中型、更紗、縞、格子、絣、酒袋、醤油袋、蚊帳などです。
これらの古布は、古くは江戸後期から人々の衣装や道具として愛用されたものです。
特に絹に至りましては、着物として誂え、汚れては洗い張りをして縫い直し、
また、流行や年齢に合わせ色柄を染め替えたりしながら、大切に着られていました。
擦れて薄くなったところには、裏からよく似た色柄のあて布を施し、
汚れた所は目立たないところへ回し、紬は表裏をひっくり返して縫い直しました。
それでも傷みが激しくなりますと、今度はお襦袢にしました。
傷みの少ないところをお袖にし、身頃には木綿を用いて肌襦袢に仕立てたり、
赤ちゃんの一つ身や、綿入れ、上っぱりになったりすることもあります。
そして最後の最後に裾よけになったり。
木綿の布団地でも、もとの一枚の原型を留めないほど、裏からさまざまな布をあて、
刺し子をほどこしたものがあります。
雑巾や、裂織りの帯ももとは着物や半纏、綿入れだったのです。
このようにして、形を変えながら生きてきた古布には、
その時代を生きてこられた人々の思い─子供や家族への思い、職人さんの技術や心意気─
が詰まっているように思います。
当然、長くさまざまな形で使われてきましたので、傷みや汚れがあります。
完品のものは珍しく、当店でも非売品として幾らか保管しておりますが、
そのように状態のよいものは、もったいないし昔の方々へ申し訳ないしで、解けません。
うさぎやでは傷みや汚れのあるものから解き、洗い、
アイロンをかけてご提供させていただいております。
もちろん、激しい傷みや汚れのある部分は除いておりますが、
少々の色褪せ、ちょんとしたシミや穴、色移りなどは
どうか、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
特に入手困難となりました、無地縮緬、無地錦紗も、当時のままのものを
ご提供いたしております。
(これまでに、2種類だけ、黄色に染めたものがございましたが、
お客さまにはその旨申し上げております。)
古布と、古布を愛おしく大切に思ってくださる方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。
平成23年3月 手作り古布うさぎや 岡田静江